『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿 を読んで

今日は読書感想文です。

 

思えば小学生の頃の読書感想文大っ嫌いでした。

 

あらすじは書いてはダメ、

感想だけ書いてもダメ、

引用ばかりしてもダメ

ダメダメずくしで何を書いたらいいのかわからない、どう書けばいいんだと思っていました。

 

感想文でいうからわからなくなるんですね。

紹介文、と考えると書きたい事が出てくるようになります。

 

今回は紹介したいような本に出合えたので、皆さんに紹介します。

 

 

絶望の国の幸福な若者たち (講談社+α文庫) 古市憲寿

 

新聞、テレビ、インターネットでは、今の若者たちは不幸だと言われます。

車を買わない、家を買わない、給料は上がらない、正社員になれない、年金もどうなるかわからない、さらに選挙までいかない(笑)

ないない尽くしで今の日本はどうなってしまうんだ。というわけです。

 

当の若者たちはどう思っているんだ。

そんなところを著者古市さんはフィールドワークと膨大な著書からまとめてくれています。

タイトルにもあるのでネタバレではないので書いてしまいますが、

若者は、そんなに不幸だと思っていない。むしろ幸福度は高い。

 

 

若者を少しはみ出してしまった私も、そんなに悲観するほど不幸だとは思っていません。

自分の身の丈に合った幸せ、価値観、ほしいもの、いらないものを取捨選択し、十分に幸せでいられます。

 

 

この本は、これまでの若者論を覆す、新しい若者論だと評されることもあります。

若者とは、(まずその定義からこの本を読むと考えることになるのですが、)

10年たてば次の若者たちにとって代わられます。

どんどん新しくなってしかるべきだと思います。

 

ワールドカップの後の渋谷の熱狂、ハロウィンで仮装して繰り出す若者たち、

震災後被災地へ駆けつけたり、ボランティアグループを作って支援した人たち、

憲法改正を批判し、国会前でデモをする人たち、

そんな若者たちへ直接インタビューをし、生の声を現場から拾ってきます。

 

また昔は若者代表といえた石原慎太郎の言葉、若者論と言わる本からの引用も膨大にのぼります。

どちらの言葉も平等に吸収し、反対の考えを批判するでなく著者自らの考えを理論整然と述べています。

 

単行本が発刊されたのが2011年、今回の文庫化が2015年。

文庫化にあたり、2015年現在の著者の注釈が追加されています。

 

この4年間で26歳の若者は30歳になり、少し考えが変わっていたり、

当時の自分にツッコミを入れていたりとおもしろいので文庫で読むことをお勧めします。

 

多くの文献、意見を集め、それらをただ単に引用し、まとめただけの文章ではなく、

一旦咀嚼、吸収としっかりインプットし、自分の意見をしっかりとまとめアウトプットしている文章が印象的です。

 

 

いまの世の中は戦後の復興、高度経済成長期、バブル、バブル崩壊、その後の低迷時代を経て、それらに乗り、乗り越えてきた人たちが作った社会です。

 

もう経済はほっておいても成長しない、俺のときはこうだったと当時成功したやり方を繰り返しても通用しない。

その時代を生きてきた人たちが年を取り、老人になってきたように、日本の社会も高齢期、老齢期に入ってきています。

 

あとは自分たちが死ぬまで楽できればいい、そんな風に思っている人たちも少なからずいます。

親の世代の作ってきた資産でそれなりに幸せに生きる、それもいいですが、

やがて食いつぶし、親の介護に押しつぶされる時代がもう目の前に迫ってきています。

 

 

新しいと言われるということは、若者より上の世代は若者をわかっていない、

若者は、そんな社会を自覚し、今後のために、

自分たちの若者時代ともう違うということが理解できていない若者卒業世代に、

読んで、考えてほしいと思います。